捨てられなくて止まるとき ― 出口は「捨てる」だけではない
捨てられない物で止まっているときは、判断を早くしようとしないでください。止まる原因は決断力ではなく、選択肢が「残す」と「捨てる」の二つしかないことにあります。
出口を増やすと動きます。譲る、売る、貸す、使い切る、写真に残して手放す、期限を付けて保留する。どれか一つでも当てはまれば、その物は今日の作業から外れて、先へ進めます。
二択にすると、必ずそこで止まる
片付けの場面で手が止まるのは、「残すか、捨てるか」を一つの物に対して迫っているときです。どちらも選べないから、持ったまま考え込むことになります。
この二択がきついのは、捨てるという行為に、物の値段、もらった相手、過去の自分の判断、これからの後悔が全部くっついてくるからです。物そのものの要不要だけを見ることは、実際には難しい。
出口を増やすと、この重さが分散します。「捨てる」に耐えられない物でも、「人に譲る」「売る」なら決められることがあります。逆も同じで、人に渡すのが気が進まない物は、捨てる方が楽なこともあります。
出口を六つ用意する
作業を始める前に、次の六つを紙に書いて、それぞれの置き場所を作っておきます。全部を使う必要はありません。使える出口がいくつかあると分かっているだけで、手が止まりにくくなります。
| 出口 | 向いている物 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 使い切る | ストックの日用品、化粧品、食品、文房具 | 使い切るまでの期限を決める。決めないと、使わないまま置き場所だけ取る |
| 譲る | 人にあげられる状態の物、趣味の道具、子ども用品 | 相手を先に決める。「誰かにあげる」のままだと家に残り続ける |
| 売る | 家具・家電・楽器・工具・ブランド品など、動いて大きな傷みがない物 | 売り先を探し続けると、そこで片付けが止まる。値が付かない物に時間をかけない |
| 写真に残して手放す | 子どもの作品、思い出の品、大量にある記念品 | 撮る枚数と、撮ったデータの置き場所を先に決める |
| 期限付きで保留 | 今日は決められない物 | 箱の数と、開ける日を決める。二度目の保留は作らない |
| 捨てる | 壊れている、汚れが取れない、部品が欠けている、期限が切れている | 住んでいる地域の分別に従う。大きい物は申込みに日数がかかる |
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物の種類で、止まり方が違う
捨てられない物といっても、止まる理由は同じではありません。理由が違えば、効く手も違います。
- 高かった物/払った金額が惜しくて決められない。今の自分がその金額で買い直すかどうかで見ると、判断が現在の話に戻る
- もらい物・贈り物/相手への気持ちと物が結びついている。物を手放しても、もらった事実は残る。相手が「使ってほしくて贈った」のなら、使っていないまま置くことの方が意図から離れている
- 思い出の品/手放すと記憶まで失う気がする。写真に残す、一つの箱に入る分だけ残す、という形にすると決めやすくなる
- いつか使うかもしれない物/「いつか」に日付が入らない限り、その日は来ない。使う場面を具体的に言えるかどうかで見る
- 家族の物・故人の物/自分の判断で決めてよい物ではない。持ち主に確認する。故人の物は、期限のある手続きが先で、片付けは後でよい
- 予備・ストック/不足したときの不安が根にある。数の上限を決めると、不安と量を切り離せる
写真に残して手放す
子どもの作品、旅行のパンフレット、集めていた物。数が多くて置き場所が足りないけれど、捨てると記憶が薄れる気がする。こういう物には、撮ってから手放す方法が合うことがあります。
うまくいかないのは、撮る枚数を決めずに始めたときです。全部を撮ろうとすると作業が終わらず、撮ったデータも見返さない山になります。先に決めるのは、撮る枚数の上限と、データを置く場所(フォルダ名まで)です。
撮ったあと、すぐに手放せない物が出てくることもあります。それは無理に手放さなくてかまいません。撮ることで「残した」という感覚ができて、後日あらためて決められるようになることがあります。
保留の正しい使い方
決められない物を保留に入れるのは、逃げではありません。手が止まっている時点で、その物は保留に入れて先へ進んだ方が、全体は早く終わります。
ただし、数と期限を決めてから使います。箱の数は家全体で二つまで、開ける日はカレンダーに書ける日付。この二つがないと、保留箱が新しい物置になります。
開ける日には、その日のうちに全部を決めます。決められなかったときは、理由の方を見てください。手放したくないなら、それは残す物です。保留から出して、置き場所を作ってください。
保留の箱に「見ない」ことは効果があります。開ける日まで中を見ないでおくと、その物がなくても生活が回っていたかどうかが分かります。ただし、書類・鍵・薬・保証書は保留に入れないでください。必要になったときに探せなくなります。
それでも決まらない物は、残す
全部を手放す必要はありません。片付けの目的は物を減らすことではなく、暮らしやすい状態を作ることです。決められない物を無理に手放して後悔が残ると、次の片付けに手が伸びなくなります。
残すと決めたら、置き場所を作ります。置き場所が決まっていない物は、残したことになりません。押入れの奥に押し込むのではなく、量が入る場所を用意して、そこに収まる分だけを残します。
残すと決めた物が多すぎて場所に収まらない場合だけ、そこで初めて優先順位を付けます。この順番なら、「捨てる物を選ぶ」ではなく「残す物を選ぶ」作業になるので、判断が軽くなります。
迷った物を、その場で決めるか保留にするか
保留にする
作業中。1つの物で30秒以上迷ったら保留へ入れて先へ進む。迷っている時間が積み重なることが、その日を終わらせない一番の理由
その場で決める
保留を開ける日。この日は決める日なので、迷ってもその場で行き先を出す。二度目の保留を作らない
手放す物を、売るか譲るか
売る
動作して大きな傷みがなく、相手を探す手間をかけたくないとき。引き取りに来てもらえるかどうかで、手間が大きく変わる
譲る
渡したい相手が具体的にいるとき。相手が決まっていない「誰かにあげる」は、家に残り続けるので出口として数えない
よくある質問
捨てるのがもったいなくて手が止まります
もったいないと感じるのは、物にまだ役割が残っていると思っているからです。その感覚は正しいことが多いので、無視しなくてかまいません。捨てる以外の出口を先に見てください。使い切る、譲る、売る。この三つのどれかに当てはまるなら、そこへ回します。どれにも当てはまらない(壊れている、汚れが取れない、部品が欠けている)なら、その物の役割はもう終わっています。
親からもらった物や、故人の物が決められません
急いで決める必要はありません。特に亡くなった方の物は、時間が経ってから決められるようになることがあります。今やるのは、判断ではなく保管です。傷まない場所にまとめて、量が分かる状態にしておいてください。ただし、期限のある手続き(相続や名義の変更など)に関わる書類だけは先に抜いておきます。判断が必要な部分は、その分野の専門家に確認してください。
家族に「捨てろ」と言われるのがつらいです
他人が決めることではありません。ただ、家の中の場所は共有なので、量と場所については話し合いが要ります。「捨てるかどうか」ではなく、「どこにどれだけ置けるか」を先に決めると、話が具体的になります。自分の物を置く範囲が決まっていれば、その中でどう残すかは自分で決められます。
写真に撮っても、結局手放せませんでした
それでかまいません。撮ったことで、その物を残す理由がはっきりしたということです。無理に手放すより、置き場所を決めて残す方が、あとに残るものが少なくなります。数が多くて場所に収まらない場合は、全部を手放すのではなく、残す数の上限を決めて、その中で選んでください。
捨てられない性格は直りますか
性格の話にしない方が進みます。実際に手が止まっている場面を見ると、多くは「選択肢が二つしかない」「一度に判断する量が多すぎる」「決めた後に戻せないことが怖い」のどれかです。出口を増やす、扱う量を小さくする、保留を用意する。この三つで、同じ人でも進み方が変わります。
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家の片付けの進め方|どこから始めて、どの順番で終わらせるか家全体を片付けるときの順番と、途中で止まったときの立て直し方をまとめてあります。