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生前整理の進め方 ― 元気なうちに決めておくこと

生前整理でいちばん家族が困るのは、物の多さではありません。どこに何があるか分からなくなることです。取引のある銀行、入っている保険、開けられないスマートフォン。これが分からないと、残された人は片付けを始める前に探し物から始めることになります。このページでは、先に書き残すもの、物を減らす順番、家族への伝え方、事業者に頼むかどうかの分かれ目を、この順番で説明します。遺言や相続の判断は有資格の専門家の領域なので、どこから先が専門家の仕事かも分けて書きます。

生前整理の段取り

上から順に進めます。なぜその順番なのかを書いてあるので、事情に合わないところは飛ばして組み替えてください。

  1. 思い立った日から1週間

    財産と契約の所在を紙1枚に書き出す(金額は書かない)

    なぜ物を減らす前にここを済ませておけば、途中で体調をくずしても家族は手続きを進められる。金額を書かないのは、更新の手間と、紛失したときの被害を小さくするため

  2. 2〜3週目

    覚え書きで足りるか、遺言が要るかを見極め、要るなら専門家への相談を予約する

    なぜ財産の分け方に希望があるかどうかで、必要な紙が変わる。ここを先に決めておかないと、物の整理が終わってから一からやり直すことになる

  3. 1か月目

    スマートフォンとインターネット上の契約を棚卸しする。パスワードは書かず、使っているサービス名と連絡先だけ残す

    なぜ紙の届かない契約は家族から見えない。手がかりが端末の中だけにあると、解約も照会も止まる。パスワードを書かないのは、生きているうちに人目に触れる危険を避けるため

  4. 1〜3か月目

    自分ひとりの持ち物から減らす。1回90分・1か所ずつ

    なぜ誰の許可も要らない場所なので、話し合いで手が止まらない。時間を区切るのは、最初に飛ばしすぎて体を痛めると、そのあと何か月も動けなくなるため

  5. 3〜6か月目

    残すと決めた物を1か所に集約し、後回しの物には期限を決めて封をする

    なぜ貴重品が家じゅうに分散していると、家族は一つひとつ中身を確かめながら進めることになり、時間が何倍にもなる。期限を切るのは、保留の箱だけが増え続けるのを防ぐため

  6. 6か月目

    家族に、一覧の置き場所と、集約した場所だけを伝える

    なぜ伝えていない一覧は、家の中の探し物を一つ増やすだけになる。中身を見せる必要はなく、場所を知らせるだけで用が足りる

  7. 以降 年に1回

    契約の増減、住まいの変化、家族構成の変化に合わせて一覧を更新する

    なぜ解約した保険や閉じた口座が残っていると、家族は無い物を探すことになる。1年に1回なら、書き直す量も少なくて済む

生前整理は、物を減らす作業ではなく「引き継ぎの準備」

生前整理と聞くと、押し入れや納戸の物を減らす作業を思い浮かべる方が多いと思います。けれども、あとで家族が本当に手を焼くのは物の量ではありません。手を焼くのは、家のどこに何があるのか、家の外にどんな契約が残っているのかが分からないことです。家の権利証がどこにしまってあるか、貸金庫を借りていたかどうか。物は時間をかければいつか片付きますが、所在の分からないものは、心当たりを一つずつ当たっていくしかありません。生前整理は捨てる作業ではなく、引き継ぎの準備だと考えたほうが、順番を間違えずに済みます。

順番を取り違えると何が起きるか、具体的に考えてみます。物を減らすところから始めた場合、半年かけて押し入れを空にしても、家族が知りたい情報は一つも残っていません。逆に所在を書き出すところから始めれば、そのあと体調をくずして物の整理が止まっても、家族は手続きを進められます。先に手を付けるべきなのは、紙一枚に書ける情報のほうです。時間も体力もほとんど要りませんし、途中で中断しても、書いたところまでがそのまま役に立ちます。物を減らすのはそのあとで、何年かけても構いません。

生前整理には、亡くなったあとに家族が行う整理と決定的に違う点があります。決めるのが本人だということです。この食器はもう誰も使わないから手放してよい、この写真は残す、この保険はすでに解約している。こうした判断は、本人にしかできません。判断できるうちに判断そのものを済ませておくこと、そしてその判断が家族に伝わる形になっていること。この二つが生前整理の中身で、物が減ったかどうかは結果として付いてくるものにすぎません。

最初に書き出すのは「お金・契約・鍵」の所在

最初に作るのは、財産と契約の所在をまとめた一覧です。ここで大事なのは、金額を書く必要はないということです。書くのは「どこにあるか」と「連絡先はどこか」の二つだけで十分です。金額は年々変わりますし、金額まで書いた紙は、置き場所に神経を使うことになります。所在だけなら更新も楽で、万一人目に触れても被害が小さく済みます。生前整理の一覧表は、財産目録ではなく、家族が探し物をしなくて済むための地図だと考えてください。

書き出す項目は、家庭によって大きくは変わりません。下の一覧を上から順に埋めていくと、抜けが出にくくなります。埋められない行があっても構いません。「たぶんあるが、書類は見つかっていない」と書いておくだけで、家族は探す場所の見当がつきます。空欄のまま放置するより、分からないと書いてあるほうがずっと役に立ちます。一度で全部を埋めようとせず、思い出した順に足していくつもりで構いません。

この一覧は、作った時点では半分しか終わっていません。残りの半分は、置き場所を家族に伝えることです。一覧そのものを渡す必要はありません。「居間の茶箪笥の一番下の引き出しに、まとめた封筒がある」と一言伝えてあるだけで用は足ります。伝えていない一覧は、家の中の探し物を一つ増やしただけになってしまいます。伝える相手は一人でなくて構いませんし、遠方に住む子どもには、電話で場所だけ言っておけば十分です。

  • 預金口座:金融機関名と支店名(通帳・キャッシュカードの保管場所)
  • 保険:生命・医療・火災の別と保険会社名(証券の保管場所)
  • 年金:受給の有無と年金関係書類の保管場所
  • 不動産:所在地と、権利証・登記識別情報の保管場所
  • 証券・投資:取引している会社名と、書類やハガキの届き先
  • 借入・ローン:残っているものがあれば、その相手先
  • 貸金庫・トランクルーム:契約先と鍵やカードの保管場所
  • 毎月の引き落とし:通帳やカード明細から拾える定期的な支払い
  • 印鑑:実印・銀行印の保管場所と、印鑑登録カードの有無

生前整理は何から始めるか最初の一枚に何を書くかを、項目にして並べています。

書類・お金・契約をまとめる一枚に書いた後、実際の書類をどこに置くかです。

エンディングノートに書くこと、書かないこと

書き残す紙には、性格の違う二種類があります。一つは、いわゆるエンディングノートのような自由に書く覚え書き。もう一つは遺言です。この二つは役割が違います。覚え書きは、一般に法的な効力はないものとして扱われます。所在の一覧、伝えておきたい希望、連絡してほしい相手といった、家族の手間を減らすための情報を書くのに向いています。決まった形式はないので、市販のノートでも大学ノートでも構いません。

一方、財産を誰にどう引き継ぐかを自分の意思で決めておきたい場合は、覚え書きに書いても意図したとおりにならないことがあります。遺言には形式の要件があり、要件を満たしているかどうかで扱いが変わるためです。書き方や要件、そもそも自分の場合に作るべきかどうかの判断は、弁護士や司法書士など有資格の専門家の領域です。このサイトでは、どちらの紙が必要になりそうかの見分け方までを扱い、中身の判断は専門家にご相談くださいとお伝えするに留めます。

見分け方は単純です。目的が「家族に探し物をさせないこと」だけなら、覚え書きで足ります。一方で「特定の誰かに特定の物を渡したい」「法律で決まっている分け方とは違う分け方をしたい」という希望があるなら、一度相談しておいたほうが、結果として家族が揉めずに済みます。相談は、財産を数え終えてからでなくて構いません。所在の一覧さえ手元にあれば、そこから先の整理は専門家の仕事です。

デジタルの引き継ぎ ― IDと毎月の支払いが一番厄介

近年いちばん厄介になっているのが、目に見えない契約です。スマートフォンが開けない、ネット専業の銀行や証券があるらしいが書類が届かない、動画や音楽の月額サービスが引き落とされ続ける。紙の通帳や証券があった時代と違い、手がかりが端末の中にしかありません。家に一枚も書類が無い契約は、家族から見れば存在しないのと同じで、気付いたときにはずいぶん時間が経っています。

ここで判断が要るのが、暗証番号やパスワードを書き残すかどうかです。書けば家族は楽になりますが、その紙が生きているうちに人目に触れると、そのまま被害につながります。折衷案として現実的なのは、パスワードそのものは書かず、「どのサービスを使っているか」「連絡先はどこか」「端末の中身をどうしてほしいか」だけを残す方法です。手続きの窓口さえ分かれば、家族は正規の手順で解約や照会ができます。

もう一つ、写真の扱いを決めておくと家族が助かります。撮った写真がインターネット上の保管場所にしかない場合、端末が開けないと一枚も残りません。残したい写真だけを選んで印刷しておく、あるいは外付けの記録媒体に写して封筒に入れておく。何百枚に絞る必要はなく、家族に見せたいものが数十枚あれば十分です。これは物の整理と同時にできるので、アルバムを開く日にまとめて片付けてしまうと二度手間になりません。

物を減らす順番は「自分だけの物」から

所在の書き出しが済んだら、ようやく物です。順番は、自分ひとりの持ち物から始めます。自分の衣類、自分の趣味の道具、自分宛ての書類。ここは誰の許可も要らず、誰も反対しません。反対されない場所から始めると、作業がそのまま前に進みます。最初の一か月をここに充てるだけで、家の中の景色が変わり、次に手を付ける場所も見えてきます。

次が、家族と共用の場所です。台所、洗面所、物置。ここは同居のご家族がいるなら、一言かけてから触ります。自分では要らないと思っている物が、家族にとっては現役ということが普通に起こるからです。そして最後が、思い出の品と、家族の誰かに関係する物。ここを最初に触ると、話し合いが必要になって作業が止まります。感情の負荷が高い物を最後に回すのは、気持ちの問題ではなく段取りの問題です。

大型の家具や家電も、後半に回して構いません。ただし、これらを自分ひとりで動かさないでください。途中で腰や膝を痛めると、整理そのものが何か月も止まります。動かすのは人手がある日にまとめて、それまでは引き出しや棚の中身だけを空にしておく。中身が空になっていれば、運び出す日の作業は半分以下になります。なお、出てきた物を何ゴミとして出すかは自治体ごとに決まりが違うため、このサイトでは扱っていません。品目別の出し方は、お住まいの自治体の案内で確認してください。

写真・思い出の品・服をどうするか判断が重い三つは、残す方から決めると進みます。

捨て方事典品目から捨て方を探す出てきた物が何ごみになるかは、品目とお住まいの市区町村で決まります。ここから品目別に調べられます。

「残す物」を先に決めて、置き場所を一か所にまとめる

物を選ぶとき、捨てる物を選ぼうとすると手が止まります。一つひとつに「これは要るか」と問うことになり、答えの出ない物が積み上がるからです。順序を逆にすると進みます。先に残す物を決めて、それ以外はまとめて後回しの箱に入れる。残すと決めた物には迷いがないので、判断が速く、疲れにくくなります。一日に下せる判断の数には限りがあるので、迷いの少ない判断から先に片付けていくほうが、同じ時間で先へ進めます。

残すと決めた物は、置き場所を一か所に集めます。箱一つでも、押し入れの一段でも構いません。ここが「触らなくていい場所」になると、家族はそれ以外を安心して手に取れます。多くの家で起きているのは、その逆の状態です。大切な物が家じゅうに分散しているために、家族は引き出しを開けるたびに手を止めて中身を確かめることになり、一部屋に何日もかかります。集約は、家族が使う時間をいちばん短くする方法です。

後回しの箱にも期限を決めておくと、荷物が増えません。三か月なり半年なり、期間を決めて封をし、その間に一度も開けなかった箱は中身を見ずに手放す、という決め方をする人もいます。この決め方が向くかどうかは人によります。開けずに手放すことがどうしても気になるなら、期限が来たら中身を見て構いません。大事なのは、判断を無期限に先送りしない仕組みを一つ持っておくことです。

家族とどう話すか ― 子から切り出された場合も含めて

生前整理は、本人が決めて本人が進めるものです。ただ、きっかけがお子さんからの一言だったという方も多いはずです。「そろそろ片付けたら」と言われると、たいていの人は気分が良くありません。自分の暮らしを否定されたように聞こえるからです。もし今その状態なら、言われたとおりに動く必要はない、と申し上げておきます。決めるのはご本人です。

そのうえで、伝えておくと家族の空気が変わる一言があります。「物はまだ減らせないけれど、どこに何があるかは書いておいた」です。家族が心配しているのは、たいてい物の多さではなく、いざという時に何も分からないことのほうです。所在の一覧ができていると伝えるだけで、片付けを急かす声は目に見えて減ります。物の話と、情報の話を分けて伝えるのが要点です。

家族に手伝ってもらう場合は、役割をはっきり決めてください。運ぶ・出す・調べるは家族、残すか手放すかを決めるのは本人。この線を引かないまま一緒に作業を始めると、良かれと思った家族が判断まで代わりにやってしまい、後味の悪さが残ります。線を引いておけば、家族は遠慮なく手を動かせますし、本人も安心して任せられます。

話し合いが感情的になりそうなら、一日で決着させないことです。今日は台所の吊戸棚だけ、次に来たときは納戸だけ、と場所を区切って、終わりを先に決めておきます。終わりが見えている作業は、家族も付き合いやすくなります。逆に「今日じゅうに全部」と始めると、疲れてきた頃に言葉が強くなり、物の話がいつのまにか人の話にすり替わります。区切るのは作業を楽にするためというより、話をこじらせないためだと考えてください。

生前整理と断捨離・終活の違い家族に切り出すときは、使う言葉で受け取られ方が変わります。

入院・施設入居という期限があるときの進め方

入院が決まった、施設への入居が決まった。こうした期限がある場合は、順番が変わります。限られた日数で全部を片付けようとせず、三つに絞ってください。第一に、財産と契約の所在を書き出すこと。第二に、通帳・印鑑・保険証券・権利証といった手続きに要る物を一か所に集めること。第三に、持って行く物を選ぶこと。この三つが終わっていれば、残りは後日でも間に合います。

急いでいるときほど、まとめて処分してしまいたくなります。ただ、時間がない中で下した処分の判断は、あとから戻せません。判断に迷った物は、処分ではなく保留の箱に入れる。保留の箱が増えても、家が回らなくなるわけではありません。落ち着いてから見直せば、そのときの自分は違う答えを出せます。期限があるからこそ、決めなくていい物を決めない、という判断が効いてきます。

住まいを引き払う予定がある場合は、賃貸か持ち家かで段取りが変わります。賃貸なら明け渡しの期日が動かせないので、日程から逆算します。持ち家で当面そのままにできるなら、急ぐ理由はありません。どちらの場合も、契約書と鍵の所在を先に確認しておくと、あとの手続きが止まりません。鍵は、玄関のほかに物置や車庫の分もあります。どれがどこの鍵か分からなくなりやすいので、札を付けてまとめておくと家族が助かります。

費用は間取りでは決まらない ― 何で変わるかを先に見る

片付けを事業者に頼むかもしれない場合、最初に金額の相場表を探したくなります。ただ、間取りだけで金額が決まることはまずありません。同じ二部屋でも、エレベーターがあるか、トラックを家の前に停められるか、分別が済んでいるか、買い取れる物がどれだけあるかで、必要な人手と時間が変わります。相場表は、条件がたまたま合っていれば近い額になりますが、合っていなければ当日に追加が出ます。金額を調べるより先に、自分の家がどの条件に当たるかを見ておくほうが確実です。

費用を押し上げる方向に働くのは、階段のある二階以上、車を停める場所がない、急ぎの日程、分別が全くできていない、庭木や物置や農機具がある、金庫やピアノがある、といった条件です。逆に費用を下げる方向に働くのは、買い取れる物がある、分別が済んでいる、日程に余裕がある、といった条件です。生前整理は、この中で「日程に余裕を作れる」数少ない場面です。急いでいないという一点だけでも、条件は良くなります。

もう一つ知っておくと役に立つのが、買取と、不用品の収集運搬・処分は、別の許可にもとづく別の仕事だということです。同じ会社が両方を行えるとは限らず、収集運搬には自治体の許可が要ります。許可を持つ業者の一覧は、多くの自治体が公表しています。頼む前にご自身の市区町村のサイトで確認しておくと、後々の心配が減ります。見積りは口頭で済ませず、作業の範囲・車両・処分費が含まれるか・追加が出る条件まで、書面で出してもらってください。

捨て方事典不用品回収業者の選び方と無許可の見分け方収集運搬の許可をどう確かめるか、見積りで書面にしてもらう項目をまとめたページです。

生前整理でつまずきやすい所

最後に、生前整理でつまずきやすい所をまとめておきます。どれも、やる気のある方ほど起きやすいものです。逆に言えば、先に知っておけばほとんどは避けられます。下に七つ挙げますが、全部を覚える必要はありません。読んでみて、自分に当てはまりそうなものが一つ二つ見つかれば十分です。当てはまったものについてだけ、始める前に手を打っておいてください。

とくに起きやすいのは、体を痛めて止まってしまうことと、書いたものの置き場所を伝えないままにしてしまうことの二つです。前者は、張り切って一日で押し入れを空にしようとしたときに起きます。後者は、書き終えた安心感で、そのまま引き出しの奥にしまってしまうことで起きます。生前整理は長期戦です。一回あたり九十分ほど、一か所ずつ。作ったものは、中身ではなく場所だけを家族に伝える。この二つを守るだけで、途中で止まる確率はかなり下がります。

  • 一日で終わらせようとして体を痛め、そこから何か月も止まる
  • 家族に相談せずに共用の物や家族の物を処分し、あとで気まずくなる
  • 所在の一覧やノートを作ったのに、置き場所を誰にも伝えていない
  • 暗証番号を書いた紙を財布や手帳に入れて持ち歩いている
  • 思い出の写真やアルバムから手を付けて、一日眺めて終わってしまう
  • 値が付くかもしれない物を、確かめずにまとめて処分してしまう
  • 「いつか使う」で保留にした箱に期限を決めず、箱だけが増えていく

迷ったときの分かれ目

どちらが正しいという話ではありません。何が違えばどちらを選ぶかを並べます。

書き残す紙は、覚え書き(エンディングノート)でいいか、遺言が要るか

覚え書きで足りる

目的が「家族に探し物をさせないこと」で、財産の分け方には特に希望がない。所在・連絡先・希望を書ければ十分な場合

遺言を検討する

特定の人に特定の物を渡したい、法律で決まっている分け方とは違う分け方をしたいなど、分け方に希望がある場合。要件と書き方の判断は弁護士・司法書士へ

暗証番号やパスワードを書き残すか

書かない(窓口だけ残す)

同居している家族がいない、紙の管理に不安がある、家族以外が家に出入りする。使っているサービス名と連絡先だけ残せば、家族は正規の手順で照会できる

書いて封をして預ける

信頼できる家族が近くにいて、封筒や金庫など開封の管理ができる場合。ただし財布や手帳に入れて持ち歩くのは避ける

物の整理を一人で進めるか、家族と一緒にやるか

一人で進める

自分ひとりの持ち物が対象で、運び出しに人手が要らない段階。判断が早く、日程も自由に組める

家族と一緒にやる

共用の場所、大型の家具、思い出の品に入る段階。ここで一人で決めると、あとで話し合いが必要になり作業が止まる

迷った物を、今決めるか、保留にするか

今決めて手放す

1年以上使っておらず、壊れても困らず、同じ役割の物が家にもう一つある。この3つが揃うなら、あとで困ることは少ない

期限を決めて保留する

人からもらった物、写真や手紙、家族の誰かに関係する物。急いで出した結論は戻せないので、封をして期限だけ決める

自分たちで運び出すか、事業者に頼むか

自分たちでやる

量が車で運べる範囲、階段や搬出経路に無理がない、日程に余裕がある。体力ではなく、経路と量で判断する

事業者に頼む

大型家具・家電がまとまってある、エレベーターがない2階以上、明け渡しの期日が決まっている。頼む前に、収集運搬の許可がある業者かを自治体の公表一覧で確認する

住まいを引き払う話が出たとき、片付けを先にするか、住まいの判断を先にするか

住まいの判断を先にする

売る・貸す・そのまま置く、で残せる物の量が変わる場合。片付けてから方針が変わると、手放した物は戻らない

片付けを先に進める

賃貸で明け渡しの期日が動かせない場合。期日から逆算し、所在の書き出し・貴重品の集約・持って行く物の選定の順に進める

よくある質問

生前整理は何歳から始めるものですか

年齢で決める必要はありません。始める合図になるのは、入院や手術の予定が入った、住まいを変える話が出た、身近な人を見送った、といった生活の変化です。ただし物を減らす作業は体力を使うため、動けるうちのほうが選べる方法が多いのは確かです。年齢に関係なく、所在を書き出す作業だけは短い時間で終わるので、そこから始めておくと後がずいぶん楽になります。

何から始めればいいか分かりません

物には触らず、預金・保険・年金・不動産・毎月の引き落としの所在を紙1枚に書き出すところから始めてください。金額は要りません。どの金融機関か、書類はどこにあるか、それだけです。押し入れや納戸から始めると、体力を使う割に、家族が知りたいことは何も残りません。所在の一覧は半日ほどで形になり、労力に対して効果がいちばん大きい作業です。

エンディングノートは市販のものを買ったほうがいいですか

どちらでも構いません。市販のものは項目が並んでいるので、何を書けばいいか迷わずに済む利点があります。一方で、項目が多すぎて途中で止まってしまう方もいます。埋まらない欄が気になるようなら、大学ノートに所在だけを書くほうが続きます。大事なのは形式ではなく、あとから書き直せることと、置き場所を家族が知っていることです。

家族に「まだ早い」と言われました

多くの場合、家族は縁起の話として受け取っています。物を捨てる話としてではなく、「どこに何があるか書いておいた」という情報の話として伝えると、反応が変わることが多いです。それでも話が進まないなら、一覧だけ作って封筒に入れ、置き場所だけ伝えておけば十分です。物の整理は、その後いつ始めても構いません。

通帳や印鑑は一か所にまとめてしまっていいのでしょうか

手続きの面ではまとめてあるほうが助かります。ただし、通帳と印鑑とキャッシュカードを同じ引き出しに揃えておくのは、盗難にあったときの被害が大きくなります。書類は一か所に集約し、印鑑とカードは別の場所にする、という分け方をされる方が多いです。隠す場所を工夫することよりも、どこにあるかを家族が知っていることのほうが大切です。

子どもに何を伝えておけばいいですか

伝えるのは3つで足ります。所在をまとめた一覧の置き場所、残すと決めた物を集めた場所、そして困ったときに連絡してほしい相手(かかりつけ医、菩提寺、相談している専門家など)です。財産の中身や金額まで話す必要はありません。中身まで伝えるかどうかは、ご家族の関係によって判断が分かれるところなので、無理に揃える必要はありません。

一度に全部やらないといけませんか

いいえ。むしろ一度にやろうとして体を痛めるのが、起きやすいつまずきです。1回90分、1か所と決めて区切るほうが、結果として早く終わります。所在の一覧だけは短い期間で仕上げ、物の整理は年単位で構いません。途中で止まっても、一覧ができていれば家族は困りません。再開するときも、前回どこで終えたかを箱に書いておけば迷いません。

遺言は自分で書いてもいいのでしょうか

遺言には形式の要件があり、要件を満たしているかどうかで扱いが変わります。自分で書ける形式もありますが、要件を外していないか、内容が意図したとおりに働くかの判断は、弁護士や司法書士など有資格の専門家の領域です。このサイトでは書き方の助言はしません。分け方に希望がある方は、思い立った段階で一度専門家にご相談ください。

売れそうな物があるのですが、値段はどこで分かりますか

買い取ってもらえる可能性がある物かどうかは、状態・年式・付属品の有無でおおよその見当が付きます。ただし具体的な金額は品目ごとに事情が違うため、このサイトでは扱っていません。金額は、買取価格を扱うサイトや、実際に品物を見てもらえる先で確認してください。生前整理では、値が付くかもしれない物を確かめずに処分してしまう失敗が起きやすいので、迷ったら処分より先に見てもらうほうが安全です。

片付けを頼む場合、費用はいくらくらいかかりますか

間取りだけでは決まりません。階段の有無、車を停められるか、分別が済んでいるか、買い取れる物があるか、庭木や物置があるかで、必要な人手と時間が変わります。金額の目安をうのみにせず、作業範囲・車両・処分費が含まれるか・追加が出る条件を、書面で出してもらってください。また、不用品の収集運搬には自治体の許可が要ります。許可を持つ業者かどうかは、市区町村が公表している一覧で確認できます。

生前整理のくわしい記事

このページは全体の流れです。下は、その中でつまずきやすいところを1つずつ掘った記事です。

生前整理で使う一覧と道具

生前整理チェックリストこのページの段取りを、印刷して手元で使える確認項目にしたものです。

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