実家の片付けに疲れたとき ― 減らすのは作業量ではないことが多い
実家の片付けで消耗する原因は、作業の重さより、判断と感情のやり取りにあることが多くあります。同じ作業量でも、親と揉めた日だけ極端に疲れるのはこのためです。
続かないと感じたら、作業量ではなく、一回に持ち込む判断の数と、行く目的を減らしてください。片付けない日を作ることも、進め方の一部です。
疲れの出どころを分ける
疲れの種類が違うと、効く手当ても違います。自分がどれかを見てから、減らすものを決めます。
| 疲れの出どころ | こういうときに強く出る | 減らすもの |
|---|---|---|
| 体の疲れ | 移動、運び出し、しゃがむ姿勢が続いた日 | 一回の作業時間と、運ぶ量。運び出しは人に頼む |
| 判断の疲れ | 一日に何十回も要不要を決めた日 | 一回に判断する物の数。保留の箱を使う |
| 感情の疲れ | 親と揉めた日、昔のことを思い出した日 | 一回の滞在で片付けをする時間。片付けない時間を作る |
| 役割の疲れ | 自分だけがやっている、誰も代わってくれない | 抱えている役割の数。作業以外をきょうだいに渡す |
| 先が見えない疲れ | 何回行っても終わりが見えない | 対象の広さ。今回の範囲と終わりの形を紙に書く |
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手を止めてよい線
実家の片付けは、期限がない場合が多い作業です。期限がないなら、止めても失われるものはありません。
止めてよいのは、安全に関わる場所が空いていて、暮らしが回っているときです。通り道、階段、火のまわり、寝室から玄関までの経路。ここが空いていれば、残りの量は急ぎません。
止めることに罪悪感が出る場合、目標が「家をきれいにすること」になっている可能性があります。目標を「親が安全に暮らせること」に置き直すと、どこまでやれば足りるかがはっきりします。
期限がある場合(売却、入居、解体)は止められません。その場合は、止めるかわりに人手を増やす判断になります。
続け方を変える
同じやり方で続かないなら、量ではなく形を変えます。
- 一回の滞在で、片付けをする時間を決める/二泊三日なら、二日目の午前だけ。残りは親と過ごす時間にする。滞在の全部を作業にすると、行くこと自体が重くなる
- 判断を求める回数を減らす/明らかな物は聞かずに進め、迷った物だけを聞く。一日に聞く回数の上限を自分で決めておく
- 保留の箱を使う/その場で決まらない物を入れて、次の帰省で見る。決めきろうとしないことが、続けるための条件になる
- 片付けない日を作る/行っても片付けをしない日を挟む。片付けの話をしない時間があると、次の回に話ができる
- 役割を渡す/作業以外(費用、連絡、調べ物、業者探し)をきょうだいに持ってもらう。全部を一人で持つ形は続かない
自分の生活を先に守る
実家の片付けは、自分の仕事や家庭と並行して進めることになります。ここが崩れると、片付けも続きません。
決めておくと楽になるのは、片付けに使う時間の上限です。月に何日まで、いくらまで。上限を決めておくと、それを超えたときに「頼む」という判断に切り替えられます。上限がないと、際限なく自分の時間から出し続けることになります。
介護と片付けが同時に始まっている場合は、片付けの優先度を下げてかまいません。介護の相談先(地域包括支援センターなど)と、片付けの相談先は別なので、先に介護の側を整えると、片付けに使える力が残ります。
兄弟姉妹で実家を片付ける抱えている役割を分けるところから変えると、続けやすくなります。
抱え込む前に、話せる先がある
実家の片付けは、家族の中だけで進めるものだと思われがちですが、間に入ってもらえる先があります。片付けの作業を頼む話とは別に、相談だけができる窓口があります。
| こういうとき | 話せる先 | 何ができるか |
|---|---|---|
| 親の体力や物忘れが気になる/介護が視野に入ってきた | 地域包括支援センター(親が住む市区町村にある) | 介護保険の相談、生活の困りごとの相談。片付けそのものは扱わないが、その手前の支援につながることがある |
| 家の中の状態が、暮らしの安全に関わっている | 市区町村の福祉の窓口・保健所 | 住まいの状況の相談。地域によって扱う窓口が違うので、市区町村の代表番号で確認する |
| 親の判断が難しくなってきて、お金や契約の管理が心配 | 地域包括支援センター、司法書士・弁護士などの専門家 | 成年後見や財産管理の相談。片付けより先に整理が必要になることがある |
| 近隣から苦情が出ている | 市区町村の担当課 | 地域によって対応する部署がある。困っている側からも相談できる |
| 自分の気持ちが持たない | 自治体の相談窓口、家族の会など | 介護や実家の問題を抱える人の集まりが、地域にある場合がある |
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どこに相談すればよいか分からないときは、親が住む市区町村の代表番号にかけて、状況を伝えて担当につないでもらう方法があります。窓口の名前は市区町村ごとに違います。
迷ったときの分かれ目
続けるか、いったん止めるか
いったん止める
期限がなく、安全に関わる場所が空いているとき。行くこと自体がつらくなっている場合は、止めた方が結果として長く続く
続ける
期限が決まっているとき、季節の事情があるとき(夏場のにおい、冬の暖房まわりの安全)。この場合は、範囲を狭めて続ける
人手を増やすか、範囲を狭めるか
範囲を狭める
期限がないとき。安全に関わる場所だけに絞れば、量は急がない
人手を増やす
期限が動かせないとき。判断は自分たちでして、運び出しと分別を頼むと、費用を抑えつつ負担を減らせる
よくある質問
実家に行くこと自体が重くなってきました
行くたびに片付けをしている場合、実家に行く=片付けに行く、になっています。片付けをしない訪問を一度挟んでみてください。食事をして帰るだけでも構いません。片付けの話をしない時間があると、次の回に話ができることがあります。行けない期間があっても、片付けが後戻りするわけではありません。
親のためにやっているのに、感謝されません
片付けられる側は、自分の物が減っていく側でもあります。ありがたさと、寂しさや不安が同時にあることが多く、その場では感謝の言葉になりにくいものです。返ってこないことを前提にしておくと、消耗が少し減ります。それでも続けるのがつらいときは、目的を「感謝されること」から「安全に暮らせること」に置き直すと、どこまでやるかが決めやすくなります。
きょうだいに頼んでも動いてくれません
「手伝って」では、何をすればよいか分からないので動けないことがあります。持ってほしい役割を具体的に渡してください。実家の自治体の粗大ごみの決まりを調べる、業者を三社探して見積もりを取る、親に週に一度電話する。どれも現地に行かなくてもできます。それでも動いてもらえない場合は、自分がやる範囲の上限を決めて、超えた分は業者に頼む判断に切り替えてください。
終わりが見えなくて、気持ちが持ちません
終わりの形を紙に書いてください。「家全体を片付ける」ではなく、「廊下と階段に物がない状態」「台所のコンロの横に物がない状態」のように、見て分かる形にします。書いたものが達成できたら、そこで一区切りにします。終わりが決まっていないと、どれだけやっても達成感が出ません。
業者に頼むのは、親に悪い気がします
頼む範囲を分けると、話しやすくなります。判断は親と自分たちでして、運び出しだけを頼む形なら、物の行き先を決めるのはこれまでどおり家族です。親には「重い物を運ぶところだけ手伝ってもらう」と伝えると、受け入れられやすくなります。全部を任せる必要はありません。
この記事の親ページ
実家の片付けの進め方|親と揉めない順番と声のかけ方全体の流れと段取りをまとめてあります。