遺品の写真と思い出の品 ― 選ぶ前に、置ける量を決める
写真や手紙は、その場で選ばないでください。片付けの最中は日程に追われているので、後で戻したくなる決め方になります。
やるのは、まとめて一か所に集めることと、置ける量の上限を決めることだけです。選ぶのは、家の片付けが終わってからで間に合います。
その場で選ばない理由
遺品整理の作業中は、時間が限られていることがほとんどです。退去日がある、家族が集まれる日が限られている、遠方から来ている。この状態で写真を一枚ずつ見ると、作業が止まります。
止まるだけならまだよいのですが、時間に追われた状態で「これは要らない」と決めると、後になって戻したくなることがあります。写真と手紙は、処分すると戻せません。
そのため、作業中にやるのは集めることだけです。家じゅうから写真・アルバム・手紙・日記・賞状・子どもの作品を集めて、箱にまとめます。中は見ません。
集めるときの手順
散らばっているので、集める作業そのものに時間がかかります。
1
箱を用意して、家じゅうから写真・アルバム・手紙・日記・賞状・記念品を集める。中身は見ない
なぜ見始めると一枚ごとに時間がかかる。集める作業と見る作業を分けると、集めるだけなら短時間で終わる
2
どの部屋から出てきたかを箱に書いておく
なぜ後で見るときに、まとまりの手がかりになる。人ごとや時期ごとに分かれていることがある
3
湿気の少ない場所に置く。押入れの床に直接置かない
なぜ紙の写真は湿気で貼り付く。貼り付くと剥がせなくなる
4
家族に、集めたことと置き場所を伝える
なぜ後から「あれはどこへ行った」とならない。見たい人が見られる状態にしておく
5
見る日を決める。片付けが全部終わってからでよい
なぜ日を決めておかないと、箱のまま何年も置かれる。落ち着いた状態で見ると、決められる
量の上限から選ぶ
見る日が来たら、選び方を先に決めておきます。「どれを捨てるか」から入ると、一枚も減りません。
決めるのは、置ける量です。アルバム二冊、箱一つ、引き出し一段。上限が決まっていると、選ぶ作業になります。上限がないまま見ると、全部が残ることになり、それはそれで構わないのですが、置き場所が決まりません。
写真の選び方には、いくつかの見方があります。同じ場面が何枚もあるものは一枚にする、風景だけの写真は減らす、人が写っているものを優先する、誰か分からない人の写真は家族に聞く。どれも絶対の基準ではないので、自分たちが後で見返したいかどうかで決めてください。
手紙と日記は、写真とは別に扱ってください。読むと時間がかかるので、同じ日に両方をやろうとすると終わりません。
データにするかどうか
紙の写真をデータにすると、置き場所は減ります。ただし、決めておくことがあります。
一つは、全部をデータにしないことです。枚数が多いと、作業が終わりません。残すと決めた分だけをデータにする方が、現実的に終わります。
もう一つは、データの置き場所です。撮っただけで放置すると、次にそのデータが行方不明になります。どこに置くか(パソコン、外付けの記録媒体、クラウド)と、誰が管理するかを決めてから始めてください。
家族で分ける場合は、データにしてから共有すると、原本を誰が持つかで揉めにくくなります。原本は一人が持ち、データを全員が持つ形です。
故人のパソコンやスマートフォンの中にも写真があることがあります。本体を処分する前に、取り出せるかどうかを確認してください。開けない場合でも、処分は最後に回します。
家族で分けるとき
写真や思い出の品を家族で分けるときは、順番を決めておくと揉めません。
先にやるのは、全員が見られる状態にすることです。分ける前に、集めた箱を全員が見る機会を作ります。見ないまま分けると、後から「あの写真はどうなった」という話になります。
分け方は、一人ずつ順番に選ぶ形が分かりやすくなります。同じ物を複数が希望した場合は、データにして共有するか、原本を誰が持つかを話し合います。
誰も希望しない物が出た場合、無理に誰かが引き取らなくて構いません。処分する前に、全員に確認したことを記録しておいてください。
家族・兄弟で遺品整理を進める分け方でもめないようにする決め方を、写真以外も含めて書いています。
迷ったときの分かれ目
作業中に見るか、後で見るか
後で見る
日程に追われているとき。時間に追われた状態で決めると、後で戻したくなる決め方になる。集めて箱にまとめるところまでにする
作業中に見る
家族がそろっていて、その日にしか集まれないとき。ただし見る時間を先に決めて、その中で終わらせる
原本を残すか、データにするか
残すと決めた分だけ原本
置ける量が決まっているとき。上限の中に入る分は原本で持ち、残りをデータにする方が現実的に終わる
全部データにする
置き場所がまったくないとき。ただし枚数が多いと作業が終わらないので、誰がいつまでにやるかを決めてから始める
家族で同じ物を希望したとき
データにして共有する
写真、手紙、賞状など、複製できる物。原本は一人が持ち、データを全員が持つ形にすると収まりやすい
話し合って決める
複製できない物(装飾品、道具、着物など)。誰も希望しない物を無理に引き取る必要はない
よくある質問
写真が大量にあって、見る気力がありません
今は見なくて構いません。集めて箱にまとめ、湿気の少ない場所に置いておいてください。見る日は、家の片付けが全部終わってからで間に合います。何年か経ってから見る方が、決められるようになることもあります。急いで処分すると戻せないので、判断を先送りする方が安全な種類の物です。
アルバムから写真を外してもいいですか
古い台紙のアルバムは、粘着が劣化して写真が貼り付いていることがあります。無理に剥がすと写真が傷むので、剥がれないものはアルバムごと残すか、その状態で撮って残す方法があります。剥がせるものは外した方が、量はかなり減ります。急がずに、剥がせる分だけ進めてください。
誰が写っているか分からない写真は捨ててもいいですか
家族に聞いてから決めてください。自分が知らない人でも、他の家族には分かることがあります。聞ける人がいない場合は、無理に残す必要はありませんが、集合写真や行事の写真は後から意味が分かることもあります。判断がつかない分は、量の上限の中に入るなら残しておいて構いません。
位牌や仏具、遺影はどうすればいいですか
扱いに決まりごとがある場合があり、宗派や地域の慣習によっても変わります。ご家族や、お世話になっているお寺・神社に相談してください。片付けの都合だけで決めない方がよい種類の物です。仏壇そのものを動かす場合も、先に相談してから進めてください。
手紙や日記は読んだ方がいいですか
読むかどうかは決まりではありません。読まないまま残す選択も、読んでから決める選択もあります。読む場合は、片付けの作業日とは別の日にしてください。同じ日にやろうとすると、片付けが進まなくなります。中に手続きに関わる書類が挟まっていることがあるので、処分する前に一度は確認しておくと確実です。
この記事の親ページ
遺品整理の進め方|7日・3か月・10か月の期限と片付けの順番全体の流れと段取りをまとめてあります。