家族・兄弟で遺品整理を進める ― 決め方を先に決めておく
遺品整理で揉めるのは、物の価値そのものより、決め方が決まっていないことが原因になります。その場にいた人が判断せざるを得ず、後から結果に意見が出る形になるためです。
作業を始める前に、迷った物の扱い・価値がありそうな物が出たときの扱い・費用の出どころ・記録の残し方の四つを決めておくと、後の話が変わります。
作業前に決める四つ
決めるのは、何を捨てるかではありません。決め方です。文章にして、全員が見られるところに置いておきます。
| 決めること | 決めておく内容 |
|---|---|
| 迷った物をどうするか | その場で判断せず保留の箱に入れる。箱の置き場所と、いつ見るかまで決める |
| 価値がありそうな物が出たとき | 写真を撮って全員に知らせる。その場で分けない・処分しない・売らない |
| 費用の出どころ | 誰がいったん払うか、上限をいくらにするか、領収書をどう共有するか |
| 記録の残し方 | 作業前と作業後に部屋ごとの写真を撮る。処分した物のまとまりも撮っておく |
現金や貴重品が出てきたとき
作業中に、現金・通帳・貴金属・証券などが出てくることがあります。ここで対応を間違えると、その後の話し合いが難しくなります。
その場でやるのは、写真を撮ることと、全員に知らせること、保管場所を決めることの三つです。分けない、使わない、処分しない、売らない。
誰の物になるかは、相続の話として別に決まります。片付けの作業の中で決めることではありません。分け方や手続きについては、弁護士・司法書士・税理士など、その分野の専門家にご相談ください。
貸金庫の鍵や、金融機関からの通知が出てきた場合も、同じ扱いにしてください。
相続放棄を考えている人が家族の中にいる場合は、家の物に手を付ける前に確認が要ります。故人の物をどう扱ったかが、後の判断に影響することがあります。作業を始める前に、全員に確認してください。
形見分けの進め方
形見として残したい物は、人によって違います。価値ではなく、思い出で決まることがほとんどです。
先にやるのは、全員が見られる状態にすることです。分ける前に、候補になる物を一か所に並べて、全員が見る機会を作ります。遠方の人には写真を送ります。見ないまま分けると、後から「あれはどうなった」という話になります。
分け方は、一人ずつ順番に選ぶ形が分かりやすくなります。同じ物を複数が希望した場合は、話し合うか、写真やデータにして共有する形にします。
誰も希望しない物が出た場合、無理に誰かが引き取らなくて構いません。処分する前に、全員に確認したことを記録しておいてください。
遺品の写真と思い出の品写真とアルバムは、量の上限を決めてから選ぶと決めやすくなります。
行ける人と行けない人
距離や仕事の事情で、現地に行ける回数には差が出ます。差そのものは埋まらないので、役割を分けます。
行けない人が持てるのは、費用の一部、業者を探して見積もりを取ること、自治体の決まりを調べること、他の親族への連絡です。どれも現地に行かなくてもできて、実際にかなりの時間がかかります。
行ける人だけが判断まで背負う形にしないでください。判断の基準を全員で決めておけば、その場の判断は個人の判断ではなくなります。「保留の箱に入れる」という決まりがあるだけで、その場で決めなくてよくなります。
写真での共有は、全部を一つずつ聞くと相手も答えられません。「この箱は処分してよいか」「この棚の中身は残す物があるか」という単位で聞くと進みます。
話がまとまらないとき
全員の合意を待っていると、退去日や売却の予定に間に合わないことがあります。
この場合は、判断のいらない範囲だけ先に進めます。ゴミ、傷む物、明らかな消耗品、掃除。判断が要る物は、処分せずにまとめて保管します。保管には費用や場所がかかりますが、処分してしまうと戻せません。
期限がどうしても動かせない場合は、保管という形を取ってでも、処分の判断を先送りする方が、後の話し合いが残ります。倉庫を借りる、誰かの家に置く、といった方法を先に検討してください。
相続そのものの話し合いがまとまらない場合は、片付けの問題ではなくなります。弁護士や司法書士などにご相談ください。
全員がそろう日にやるか、行ける人で進めるか
そろう日にやる
形見分け、価値がありそうな物、写真、故人の私物。ここを一部の人で決めると、後から必ず話になる
行ける人で進める
ゴミ出し、傷む物、消耗品、掃除、通り道の確保。ここまで全員の予定を合わせようとすると、いつまでも始まらない
期限に間に合わないとき、処分するか保管するか
保管する
判断が要る物。費用や場所はかかるが、処分すると戻せない。話し合いの余地が残る
処分する
全員が処分に同意している物、明らかな消耗品、傷んでいる物。同意の記録を残しておく
よくある質問
きょうだいが手伝ってくれません
作業以外の役割を渡してみてください。自治体の決まりを調べる、業者を三社探して見積もりを取る、他の親族に連絡する、費用の一部を持つ。どれも現地に行かなくてもできます。「手伝って」だけでは何をすればよいか分からないので動けないことがあります。それでも動いてもらえない場合は、判断の基準だけ先に共有して、作業を進めてください。
後から「勝手に捨てた」と言われました
処分する前の写真があれば、何をどう扱ったかを示せます。今後については、部屋ごとの作業前・作業後の写真を撮る、処分する物のまとまりを撮る、迷う物は保留にする、という三つを決まりにしてください。すでに処分した物については、記録がない場合は説明が難しくなります。今後の分だけでも記録を始めると、話が落ち着くことがあります。
価値のある物が出てきました。どうすればいいですか
その場で分けたり、売ったり、処分したりしないでください。写真を撮って、全員に知らせ、保管場所を決めます。値段が付くかどうかは見てもらえば分かりますが、誰の物になるかは相続の話として別に決まります。分け方や手続きについては、弁護士・司法書士・税理士など、その分野の専門家にご相談ください。
連絡が取れない相続人がいます
連絡が取れない状態で家財を処分すると、後で問題になることがあります。連絡を試みた記録(いつ、どの手段で連絡したか)を残してください。手続きの進め方については、司法書士や弁護士にご相談ください。片付けとしては、判断が要る物を保管しておく形になります。保管の費用や場所についても、家族の間で先に決めておくと後の話が楽になります。
費用は誰が出すのが普通ですか
決まった形はありません。相続に関わる費用の扱いは、状況によって変わるので、金額が大きくなる場合は専門家に確認してください。片付けの進め方としては、使う前に上限を決めること、誰がいったん払うかを決めること、領収書を共有することの三つを先に決めておくと、後から精算するより揉めにくくなります。
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遺品整理の進め方|7日・3か月・10か月の期限と片付けの順番全体の流れと段取りをまとめてあります。