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物が多すぎる家の片付け ― 減らす前に、床と通り道を取り戻す

物が多い家では、分ける作業より先に、床と通り道を空けます。分けるには物を広げる場所が要るのに、その場所が家の中にないことが、手が付かない一番の理由だからです。

最初の一回は「減らす」ではなく「一畳分の床を出す」を目標にします。そこが作業台になり、二回目からの速度が変わります。

手が付かないのは、意志の問題ではない

物が多い家で作業が始まらないのは、やる気が足りないからではありません。物理的に作業ができない状態になっているためです。

片付けは、物を手に取って、行き先ごとに分けて、置く、という動作の繰り返しです。この「置く」場所が家の中にないと、動作が完結しません。手に取った物を持ったまま立ち尽くす時間が積み重なり、一時間経っても何も減っていない、ということが起きます。

だから最初にやるのは、判断でも仕分けでもなく、場所づくりです。畳一枚分でかまいません。そこが空けば、次からは物を広げて比べられるようになります。

一回目:一畳分の床を出す

最初の作業では、何も判断しません。判断せずに動かせる物だけを動かして、床を出します。

  1. 作業台にする場所を決める(部屋の入口近く、日の当たる場所が続けやすい)
  2. その一畳分の上にある物を、判断せずに「壁ぎわ」へ寄せる。捨てるかどうかは考えない
  3. 床が出たら、そこにある明らかなゴミだけを袋に入れる
  4. 袋を結んで、玄関の外か決めた置き場所まで運ぶ
  5. 空いた一畳を、この先ずっと作業台として空けたままにすると決める

積み上がった山を崩すときは、上から一つずつ取ってください。横から引き抜くと崩れます。背より高い山、濡れている物、においのある物、虫がいる物には、手袋とマスクを着けてから触れてください。

二回目以降:袋一つ分だけを毎回終わらせる

床が出たら、そこへ物を運んできて分けます。ここでも家全体は見ません。一回に扱うのは、袋一つ分か、箱一つ分だけです。

この単位が小さすぎると感じるかもしれませんが、物が多い家では、この小ささが続く理由になります。一回の作業に終わりがあると、終わったことが自分で分かります。「今日はリビング」のような区切りだと、終わったかどうかが永遠に分かりません。

毎回、袋一つ分を最後まで(分けて、ゴミを出して、残した物を置くまで)終わらせます。途中で次の袋に手を出さないでください。同時に開いている山が二つ以上あると、そこから元に戻ります。

多い家で特に効く、判断のいらない三つ

物が多い家には、判断がまったく要らないのに量が多い物が、必ず含まれています。ここを先に抜くと、見た目の量が大きく変わります。

抜くものどこにあるかなぜ判断が要らないか
紙・包装・空き箱床の山の中、押入れの手前、台所の隅中身のない箱、レジ袋、通販の梱包材、期限の切れたチラシ。取っておく理由がその場で言えないなら、その物には役割が残っていない
期限のある物台所、洗面所、薬箱、冷蔵庫の奥食品・薬・化粧品・電池は期限が書いてある。書いてある日付で決まるので、迷う余地がない
壊れている物・部品だけの物物置、押入れ、家電のまわり直すと決めて日付を書けないなら、直らないまま置かれ続ける。リモコンだけ、コードだけ、蓋だけ、も同じ

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大量に出るゴミを、どこにどう置くか

物が多い家では、出るゴミの量も多くなります。ここを設計しないと、袋が家の中に積み上がって、片付ける前より通れなくなります。

決めておくのは三つです。袋をいったん置く場所(玄関の外、ベランダ、車庫など、居住スペースの外)、次の収集日、一回に出せる量です。地域によって一度に出せる袋の数に決まりがあることがあるので、住んでいる自治体の案内を先に見ておきます。

大きい物は、収集日を待つ間に部屋の中に置いておくと作業の邪魔になります。壁ぎわに寄せて、通り道を確保してください。粗大ごみの申込みが必要な物は、この段階で申し込みます。引き取りまでに日数がかかるので、最後に思い出すと全体の終わりがそこで決まってしまいます。

捨て方事典ごみの自己搬入のやり方 ― 予約・持ち物・車の条件収集日を待たずに自分で持ち込む方法です。一度に多く出るときは、袋が家にとどまる期間を短くできます。

生活を止めずに進めるための線引き

片付けている間も生活は続きます。物が多い家では、片付けの途中で寝る場所や食べる場所がなくなることがあります。これが起きると、片付けそのものが中断します。

先に「触らない場所」を決めてください。寝る場所、座る場所、台所の作業台、トイレと洗面への通り道。この四つは、片付けの最中でも常に使える状態に保ちます。ここに物を寄せてはいけません。

寄せる先は、すでに使っていない部屋か、壁ぎわです。使っていない部屋がある場合、そこを一時置き場にすると作業は速く進みますが、その部屋の中身が最後に丸ごと残ります。一時置き場を使うなら、いつそこを片付けるかを最初に決めてください。

片付けの間ずっと空けておく四か所

  • 寝る場所(布団やベッドの上と、そこまでの通り道)
  • 座って食事ができる場所
  • 台所で一人が立って作業できる幅
  • トイレ・洗面・浴室への通り道と、避難経路

一人で抱えなくてよい場合

物がたまってしまう背景には、体調の変化、仕事や介護での余裕のなさ、家族構成の変化、大切な人を亡くした後の時期など、いくつもの事情が重なっていることがあります。片付けが進まないことを、本人の性格の問題として片付ける必要はありません。

住まいの安全にかかわる状態(避難経路がふさがっている、水回りが使えない、においや虫が出ている)になっているときは、片付けだけでは戻らないことがあります。お住まいの地域の地域包括支援センター、市区町村の福祉の窓口、保健所にも相談の窓口があります。

作業として外に頼む場合も、全部を頼む必要はありません。判断は自分でして、運び出しだけ頼む形にすると、費用も気持ちの負担も抑えられます。

自分でやるか、頼むかの分かれ目期限・体力・搬出の三つで判断する方法と、頼む範囲の分け方を書いています。

よくある質問

どこから手を付けても、次の日には元通りです

元に戻るのは、出した物の行き先が家の中にないためです。分けた物を最終的にどこへ持っていくかが決まっていないと、その日の終わりに全部を元の場所へ戻すことになります。作業を始める前に、ゴミの置き場所、手放す物の置き場所、残す物を戻す場所の三つを決めてください。特にゴミを家の外まで出しきることが、戻さないための一番の分かれ目です。

何日くらいかかりますか

物の量ではなく、判断の重い物がどれだけ含まれるかで変わります。同じ量でも、包装材と空き箱が中心なら数日、書類と写真が中心なら数週間かかります。見積もるときは、袋一つ分を一区画として数えてください。一区画に30分から1時間、判断の重い区画は2時間以上を見ます。日数を先に決めてしまうと、必ず外れます。

家族の物が多くて、自分の物だけでは減りません

自分の物と共有スペースの物から始めてください。他人の物に手を付けると、その先の協力が得られなくなります。共有スペースは「誰の物か」ではなく「ここに置いてよい量」で線を引くと話が進みます。家族の個人の物は、持ち主の部屋へ移すところまでにして、捨てる判断は本人に任せます。自分の側が片付いた状態を先に作ると、話が通りやすくなることがあります。

収納を増やせば片付きますか

一時的には片付いて見えますが、多くの場合は戻ります。収納を増やすと、収まる量が増えた分だけ、判断を先送りできてしまうためです。物が多い家で先に必要なのは、収納ではなく床です。床が出ると分ける作業ができるようになり、そこで初めて残す量が決まります。収納用品を買うのは、残す量が決まった後にしてください。

一気に業者に頼んで空にしてもらうのはどうですか

期限が決まっていて動かせないとき、住まいの安全にかかわるとき、体力的に自分で運び出せないときは、その方が現実的です。ただし全部を任せる前に、貴重品・書類・写真だけは自分で抜いてください。通帳、印鑑、保険証券、権利証、鍵、現金は、山の中から出てくることがあります。作業前に金額と作業範囲を書面で確認し、当日に追加される条件も先に聞いておいてください。

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家の片付けの進め方|どこから始めて、どの順番で終わらせるか家全体を片付けるときの順番と、途中で止まったときの立て直し方をまとめてあります。

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