片付けはどこから始めるか ― 場所より先に決めることがある
最初に選ぶのは場所ではなく、判断の軽さです。考えずに手放せる物(明らかなゴミ・空き箱・壊れて使えない物・期限切れの物)から始めると、手が止まりません。
場所を選ぶなら、毎日目に入る一か所だけにします。片付いた状態が視界に入り続けることが、二回目に手を付ける力になります。写真・手紙・故人の物のように判断の重い物がある場所は、最初に選びません。
場所から決めると、なぜうまくいかないのか
「玄関から」「使っていない部屋から」という順番をよく見かけます。間違いではありませんが、場所だけを決めて始めると、進み方が日によってばらばらになります。同じ一時間でも、空き箱が積んである押入れと、書類が詰まった引き出しでは、終わる量が何倍も違うからです。
違いを生むのは物の数ではなく、一つあたりの判断にかかる時間です。空き箱は見た瞬間に決まりますが、書類は中を開いて、必要かどうかを考えて、迷って戻します。この「迷って戻す」が一回でも起きると、そこから作業の速度が落ちます。
だから最初に決めるのは、どこを片付けるかではなく、どの重さの判断から入るかです。
判断が軽い物・重い物
軽い物と重い物は、はっきり分かれています。自分の家に当てはめて、どちらが多いかを見てから場所を選びます。
| 判断の重さ | あてはまる物 | 一つあたりの時間 |
|---|---|---|
| 軽い | 明らかなゴミ、空き箱、包装材、期限切れの食品・薬、壊れて直さない物、同じ物が何個もあるうちの余り | 数秒 |
| 中くらい | 衣類、食器、日用品のストック、本や雑誌、使っていない家電の付属品 | 十数秒〜1分 |
| 重い | 写真、手紙、日記、贈り物、子どもの作品、高かった物、故人の物、いつか使うかもしれない道具 | 数分〜決まらない |
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最初の一回に向く場所と、向かない場所
軽い物が多く、片付いたことが目に見える場所が向いています。玄関の三和土、洗面台の上、冷蔵庫の中、台所の引き出し一つ、テーブルの上。どれも短時間で終わり、終わったことがはっきり分かります。
向かないのは、押入れの奥、納戸、物置、クローゼットの奥、書斎です。ここは判断の重い物が集まっている上に、出した物を置く場所が家の中にまだ用意できていません。開けた瞬間に物が床に広がり、その日のうちに戻せなくなります。
もう一つ避けたいのが、家族の物が入っている場所です。自分の判断だけで動かせないので、途中で必ず止まります。
最初の一回に選ぶ場所のたしかめ方(4つとも当てはまる場所を選ぶ)
- 自分の判断だけで手放してよい物が入っている
- 判断の重い物(写真・手紙・故人の物)が入っていない
- 1〜2時間で最後まで終わる大きさである
- 毎日、自分の目に入る場所である
始める前の10分でそろえるもの
作業が途中で止まる原因の多くは、道具が足りないことです。ゴミ袋を取りに行く、袋がない、置き場所がない。そのたびに手が離れ、戻ってくるまでに気持ちが切れます。
そろえるのは四つだけです。ゴミ袋(住んでいる地域の分別に合う物を数枚)、空の箱か紙袋を三つ、油性ペン、そして時計です。箱には「保留」「別の場所へ」「見てもらう」と書きます。
「見てもらう」は、売れる可能性があるかどうかが自分で判断できない物を入れる箱です。家具・家電・楽器・工具・ブランド品などが該当します。この箱があると、値段が付くかどうかを考えて手が止まる時間がなくなります。
最初の90分の使い方
時間があるなら90分を目安にします。区切りは自分で決めますが、初回は次の配分で進めると、終わりまで行けます。
はじめの10分
ゴミ袋を広げて、その場所にある明らかなゴミだけを入れる。中を見ない、迷わない
なぜ考えずに手が動く作業から入ると、判断のための助走になる。最初から迷う作業を置くと、その日は始まらない
次の40分
残っている物を、残す・手放す・保留・別の場所へ、の四つに分ける。分けるだけで、しまわない
なぜ分けながらしまうと、一つの物に二回さわることになる。分ける作業と収める作業を混ぜると、時間が倍かかる
次の20分
残すと決めた物だけを、元の場所に収める。使う頻度が高い物を手前に置く
なぜ量が確定した後に収めるので、置き方を一度で決められる。ここで収納用品を買いに行かない
最後の20分
ゴミを出す。手放す物を玄関まで運ぶ。保留箱にふたをして、見直す日を書く
なぜ出しきらないと、片付けた実感が残らない。家の中に置いたままにすると、次の回にまた同じ物を判断することになる
迷ったときの分かれ目
目に見える場所から始めるか、収納の中から始めるか
目に見える場所
床やテーブルの上に物が出ているとき。ここが片付くと生活が楽になり、次の回に続く。収納の中はまだ開けない
収納の中
見えるところは片付いているのに、しまう場所がなくて物が出てくるとき。この場合は収納の中に余白を作らないと、何度片付けても同じ状態に戻る
広い場所からか、狭い場所からか
狭い場所
初めて片付けるとき、時間が読めないとき。引き出し一つなら、途中でやめても元に戻せる
広い場所
まとまった時間が取れて、その日のうちに終わらせられる見込みがあるとき。広い場所を中途半端に開けると、散らかったまま日をまたぐ
始めたのに、一回で止まってしまったとき
一回やって続かなかった場合、原因は気持ちではなく設計にあることが多いです。よくあるのは三つです。
一つ目は、選んだ場所が大きすぎたこと。終わらないまま日をまたぐと、散らかった光景が残り、次に開ける気が起きません。二つ目は、出した物の行き先を決めていなかったこと。分けたのに置き場所がなく、結局まとめて押し込むことになります。三つ目は、判断の重い物から入ってしまったこと。
どれも、次の回に場所と区切りを変えれば直ります。同じ場所で二度止まるなら、その場所は今の自分には重いということなので、いったん飛ばしてください。飛ばした場所は、家の他が片付いてから戻ると、驚くほど早く終わります。
よくある質問
玄関から始めるのがよいと聞きましたが、本当ですか
玄関は最初の一回に向いています。狭い、判断の軽い物が多い、毎日目に入る、という条件がそろっているからです。ただし玄関がよいのは「玄関だから」ではなく、この三つの条件を満たしているからです。同じ条件を満たす場所なら、洗面台の上でも冷蔵庫の中でも同じ効果があります。家によっては玄関に判断の重い物(傘立ての奥にある道具、家族の靴)が集まっていることもあるので、条件で選んでください。
捨てる物が一つも見つからないときはどうすればいいですか
捨てる物を探す作業になっている時点で、順番が逆になっています。片付けは物を捨てる作業ではなく、置き場所を決める作業です。捨てる物が見つからないなら、まず同じ役割の物がいくつあるかを数えてください。ペン、はさみ、爪切り、ビニール袋、保冷剤。数えると、使っていない方が自然に分かります。それでも減らせないなら、減らさずに置き場所だけを決める形でも片付きます。
家全体を見ると気が滅入ります
全体を見ている間は手が動きません。視界に入る範囲を物理的に狭めてください。引き出し一つ、棚一段、紙袋一つ分。その区画だけを終わらせて、次の日はまた別の一区画にします。全体の見通しは、区画の数を数えることで別に把握できます。量そのものと向き合う必要はありません。
平日は30分しか取れません。それでも始められますか
始められます。30分なら、分ける作業と収める作業を同じ日に入れないでください。その日は分けるだけにして、収めるのは次の日にします。30分で区切るときは、途中でやめても元に戻せる大きさ(引き出し一つ、棚一段)を選びます。押入れのような大きい区画を30分で開けると、散らかった状態で終わることになります。
何から始めるかを人に決めてもらいたいのですが
決めてもらうこと自体は悪くありません。ただ、他人が選んだ場所が自分にとって重い場所だと、そこで止まります。人に相談するなら、場所ではなく条件を伝えてください。使える時間、家族の物が混ざっているかどうか、判断の重い物がどこにあるか。この三つが分かれば、あとは条件に合う場所を選ぶだけです。
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家の片付けの進め方|どこから始めて、どの順番で終わらせるか家全体を片付けるときの順番と、途中で止まったときの立て直し方をまとめてあります。