退去前の片付け ― 鍵を返した後は、もう部屋に入れない
退去では、部屋に物を残していくという選択肢がありません。残した物は残置物として扱われ、撤去にかかった費用が精算で請求されることがあります。
逆算の起点は引越し日ではなく、鍵を返す日です。鍵を返した後は部屋に入れないので、出しきる日程はそこから数えます。
残しやすい場所
見落とされやすいのは、普段開けない場所と、屋外です。引越し当日はばたばたするので、前日までに一度見ておいてください。
鍵を返す前に見る場所
- ベランダ・バルコニー(物干し、すのこ、植木鉢、灯油缶)
- 物置・専用の外部収納・駐輪場・駐車場
- 床下収納・押入れの天袋・階段下収納
- 洗面台の下・シンクの下・吊り戸棚の奥
- 玄関の靴箱の上と中・傘立て
- 郵便受け・宅配ボックス
- エアコンや照明の付属品(リモコン、取扱説明書、リモコンホルダー)
- 浴室の物干し竿・鏡の裏・換気扇のフィルター
設備か、自分で付けた物か
残していい物と、外して持っていく物の区別は、契約の内容で決まります。同じ物でも、部屋によって扱いが違います。
最初から付いていた物(設備)は、そのまま残します。エアコン、照明、カーテンレール、換気扇、給湯器などが該当することが多い物です。自分で付けた物(棚、フック、突っ張り棒、追加した照明、シャワーヘッド、ウォシュレット)は、外して持っていくか、処分します。
自分で付けた物を残していきたい場合は、事前に管理会社に確認してください。「次の人が使えるから」という理由でそのままにすると、撤去費用を請求されることがあります。逆に、外すと元に戻す必要が出る物(穴を開けた場所など)は、外す前に確認した方が確実です。
前の入居者が残していった物が部屋にある場合も、扱いを確認してください。自分が付けた物ではないので、判断が変わります。
立ち会いの前にやっておくこと
退去の立ち会いは、部屋の状態を確認する場です。片付けが終わっていない状態で迎えると、確認そのものができません。
- 物を全部出しきる/段ボール一つでも残っていると、その分の扱いを決めることになる
- 掃除をする/どこまでやるかは契約によるが、ゴミとほこりを取っておくと、汚れが元からあったものか使ってできたものかの話がしやすくなる
- 写真を撮る/出しきった後の各部屋を撮っておく。後から状態について話になったときの材料になる
- 設備の付属品をそろえる/エアコンや給湯器のリモコン、鍵の本数、駐輪場のステッカーなど。なくすと実費になることがある
片付けと原状回復は、別の話
退去のときに出てくる話は二つあります。物を出しきること(片付け)と、部屋の状態を戻すこと(原状回復)です。この二つは決まり方が違うので、分けて考えると話が整理できます。
片付けは、自分でやればそれで終わります。物を全部出せば、そこで完了します。一方、原状回復は、契約の内容と、部屋の状態がどうしてそうなったかで決まります。国土交通省が原状回復についての考え方を示したガイドラインを公表しており、契約や自治体の条例でこれと違う定めがある場合もあります。
実際にどこまで負担するかは、契約書の内容と個別の事情によります。ここで断定することはできません。金額や範囲に納得できない場合は、契約書を持って、お住まいの自治体の消費生活センターなどにご相談ください。
| 出てくる話 | 決まり方 | 自分でできること |
|---|---|---|
| 物が残っている(残置物) | 残した物の撤去にかかった費用が請求されることがある | 出しきる。判断に迷う物は鍵を返す前に確認する |
| 自分で付けた物(棚・器具など) | 契約の内容による。外して持ち帰るのが原則 | 外す前に管理会社に確認する。やり取りを記録に残す |
| 普通に住んでいてできた傷み | 考え方がガイドラインで示されている。契約により定めが違うこともある | 入居時と退去時の写真を残しておく |
| 不注意や手入れ不足でできた汚れ・傷 | 同上。個別の事情で判断が変わる | 落とせる汚れは落とす。無理に落として傷を付けない |
| 鍵や設備の付属品の紛失 | 実費になることが多い | 鍵の本数、リモコン、ステッカー類を先にそろえる |
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退去日と引越し日がずれるとき
引越し日と鍵の返却日が同じとは限りません。数日ある場合と、同じ日の場合で、片付けの組み方が変わります。
数日ある場合は、その期間を出しきる日に使えます。引越し当日に運びきれなかった物や、収集日が合わなかった物を、この期間に処理できます。
同じ日の場合は、当日に処分の予定を入れないでください。当日は運ぶ作業だけにして、手放す物は前日までに家から出しきります。当日に出しきれない物が出ると、その場で判断することになり、選べる先が限られます。
新居の鍵を先に受け取れる場合は、二つの家を同時に使える期間ができます。この期間があると、判断を新居に持ち越せるので、引越し前の片付けの負担が大きく減ります。
引越しの片付けはいつから始めるか鍵を返す日から逆算すると、始めどきが決まります。
迷ったときの分かれ目
自分で付けた物を、外すか残すか
外して持っていく/処分する
原則こちら。残置物として撤去費用を請求されることがある
残す
管理会社に確認して、残してよいと言われたとき。口頭ではなく、記録に残る形(メールなど)でやり取りしておくと確実
掃除をどこまでやるか
ゴミとほこりを取るまで
多くの場合こちら。専門的な清掃は退去後に行われることが多い。契約の内容を確認する
専門の清掃を入れる
契約で決まっているとき、ペットや喫煙で汚れが強いとき。自分で落とせない汚れを無理に落とそうとして、かえって傷を付けることがある
よくある質問
退去のとき、部屋に物を残していくとどうなりますか
残置物として扱われ、撤去にかかった費用が退去の精算で請求されることがあります。ベランダの物、物置の中、床下収納の中も含まれます。次の入居者が使うかもしれないという理由でも、残さない方が確実です。判断に迷う物がある場合は、鍵を返す前に管理会社に確認してください。
自分で付けたウォシュレットや棚は、外さないといけませんか
自分で付けた物は、外して持っていくか処分するのが原則です。残していきたい場合は、事前に管理会社に確認してください。外すと壁や床に跡が残る場合もあるので、外す前に相談した方が確実なこともあります。やり取りは、後から確認できる形(メールなど)で残しておくと安心です。
引越し当日に、まだ処分できていない物があります
鍵を返す日が同じなら、その日のうちに家から出す必要があります。当日に処分先を探すと選べる先が限られるので、運べる物は新居へ運んでください。運べない大きさの物は、許可を持つ事業者に頼む形になります。鍵の返却日に数日の余裕がある場合は、その期間に収集や持ち込みを組めます。
掃除はどこまでやればいいですか
契約の内容によります。多くの場合、ゴミとほこりを取っておく程度で、専門的な清掃は退去後に行われます。自分で落とせない汚れを無理に落とそうとすると、かえって傷を付けることがあります。出しきった後の各部屋の写真を撮っておくと、後から状態について話になったときの材料になります。
前の入居者が残していった物があります
自分が持ち込んだ物ではないので、扱いを管理会社に確認してください。勝手に処分すると、後から話になることがあります。入居のときから部屋にあった物は、写真や入居時の記録があると話が早くなります。
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引越し前の片付け|退去日から逆算する段取りと、不用品を手放す順番全体の流れと段取りをまとめてあります。