親が入院・施設に入ったあとの実家 ― 今やること、待つこと、本人に聞くこと
親が家を離れた直後にやることは、片付けではありません。食品と火の元、戸締まり、郵便と請求の把握、貴重品と書類の場所の確認です。この四つを済ませたら、物の判断は急がなくてよくなります。
親が戻る可能性がある間は、本人の物を本人に確かめずに減らさないでください。戻ったときに「自分の家ではない」と感じさせることになります。減らすのは、明らかな期限切れと腐る物、危ない物だけにします。
最初の一週間でやること
家に人がいなくなった直後は、物より先に家の状態を止めます。ここを済ませておけば、あとの判断は月単位で進めて構いません。
- 食品と火の元/冷蔵庫の中身を出し、腐る物を処分する。炊飯器や電気ポットの中を空ける。ガスの元栓を閉め、使わない電化製品のコンセントを抜く
- 戸締まりと鍵/すべての窓と勝手口の鍵を確認する。鍵を持っている人を家族で確かめ、誰が家の様子を見に行くか決める
- 郵便と請求/郵便受けを空にし、届いている請求書や通知を一か所にまとめる。電気・ガス・水道・電話・新聞・定期購入の契約を書き出す
- 貴重品と書類の場所/通帳、印鑑、保険証券、年金の書類、家の権利に関する書類がどこにあるかを確認し、動かすなら本人に伝えて記録する
しばらく待ってよい物
服、本、趣味の道具、食器、家具。これらは親の生活そのものです。本人が戻るかどうか、戻るならいつか、が決まるまで動かす必要はありません。家の中で腐ったり危なくなったりしないので、置いたままで構いません。
待つ間にできるのは、「何があるか」を把握することです。部屋ごとに写真を撮る、大きい物の一覧を作る。減らす判断は後にして、記録だけを先に作ります。本人に確かめるときも、写真があれば話が具体的になります。
本人に確かめてから決めること
親が話せる状態なら、物の判断は本人に確かめます。「捨てていい?」と聞くと「だめ」と返りやすいので、「これはどこにしまってあるか」「誰かに渡したい物はあるか」と、場所や行き先を聞く形にします。
特に確かめるのは、人からもらった物、故人の物、写真、手紙、仕事に関わる物です。家族から見て価値が分からなくても、本人には理由がある物が多い種類です。
本人と話せない状態のときは、家族の間で「誰が判断するか」を先に決めます。兄弟姉妹の一人だけが片付けに通っている場合、その人が全部を決めることになりがちです。決める前に、写真を共有して意見を聞く回数を一回でも作っておくと、あとで揉めにくくなります。
戻るかどうかで、進め方が分かれる
親の状態と家の使い方によって、進め方は三つに分かれます。
| 状況 | 今やること | やらないこと |
|---|---|---|
| 退院して家に戻る見込み | 安全の確保。段差や通路の物をどかし、動きやすくする。腐る物と期限切れだけ処分 | 服や家具を減らす。本人の物の置き場所を変える |
| 施設に入り、戻る予定がない | 本人に確かめながら、持っていく物と残す物を分ける。家をどうするかを家族で相談 | 本人に確かめずに減らす。家の扱いが決まる前に大型家具を処分する |
| 戻るかどうかまだ分からない | 記録(写真・一覧)を作る。郵便と契約の管理を続ける。家の風通しと掃除を月に一度 | 判断そのもの。決まるまで物は動かさない |
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誰も住まない家の手入れ
人が住まなくなった家は、月に一度は窓を開けて風を通し、水道の蛇口を少し流します。長く水を流さないと、排水管の水が乾いてにおいが上がってきます。郵便受けはためないようにし、庭があれば草の伸び方を見ておきます。
電気・ガス・水道の契約を止めるかどうかは、戻る可能性と、片付けに通う頻度で決めます。片付けに通う間は電気と水道があった方が作業できます。止める判断は、家の扱いが決まったときに合わせます。
最初の一週間の確認リスト
やったことを書き残しておくと、あとから来る家族に同じ説明を繰り返さずに済みます。
家を離れた直後の確認
- 冷蔵庫・冷凍庫・炊飯器・電気ポットの中身を空にした
- ガスの元栓を閉め、使わない電化製品のコンセントを抜いた
- 窓・玄関・勝手口の鍵を確かめ、鍵を持つ人を家族で共有した
- 郵便受けを空にし、届いた請求書と通知を一か所にまとめた
- 電気・ガス・水道・電話・新聞・定期購入の契約を書き出した
- 通帳・印鑑・保険証券・年金の書類・家の権利に関する書類の場所を確かめた
- 部屋ごとに写真を撮り、大きい物の一覧を作った
迷ったときの分かれ目
本人の服や持ち物を、今のうちに減らすか
減らす
施設に入って戻る予定がなく、本人が「これは要らない」と自分で言った物だけ。本人が決めた物は本人の判断として進める
待つ
戻る可能性がある、または本人と話せないとき。減らした物は戻せない。記録を作って待つ方が、あとの選択肢が残る
実家の片付けを、兄弟の一人が進めてよいか
一人が進める
安全の確保、食品の始末、郵便と契約の把握。ここは誰がやっても結果が変わらない
全員で決める
物を減らす判断と、家をどうするかの判断。写真を共有して、一回でも意見を聞く場を作ってから進める
よくある質問
親が入院しました。実家の片付けはすぐ始めるべきですか
片付けはまだです。最初の一週間でやるのは、食品と火の元の始末、戸締まり、郵便と契約の把握、貴重品と書類の場所の確認です。物の判断は、戻るかどうかが見えてからで間に合います。
親が施設に入りました。実家の物は捨ててもいいですか
本人に確かめてからにしてください。「捨てていい?」ではなく「どこにしまってあるか」「誰かに渡したい物はあるか」と、場所や行き先を聞く形にすると話が進みます。本人が要らないと言った物から順に進めます。
遠方に住んでいて、実家を見に行けません
月に一度の風通しと水流しを、近くの親族か知人に頼めるか確認してください。郵便物は転送の手続きで自宅に届けられます。家の扱いが決まるまでは、電気と水道を残しておくと、片付けに行ったときに作業できます。
兄弟で意見が合いません。誰が決めればいいですか
安全と食品と郵便は誰がやっても同じなので、通える人が進めてください。物を減らす判断と家をどうするかは、写真を共有して意見を聞く場を一回作ってから進めます。一人で決めると、あとで戻せない判断だけが残ります。
親の郵便物はどうすればいいですか
郵便受けをためないことが先です。定期的に見に行けないときは、郵便局の転送の手続きで自宅などに届けられます。届いた請求書と通知は一か所にまとめ、契約の一覧を作るときの材料にします。本人宛ての手紙は開けずに保管し、本人に確かめてから扱います。
この記事の親ページ
実家の片付けの進め方|親と揉めない順番と声のかけ方全体の流れと段取りをまとめてあります。