実家の物が多すぎるとき ― まず量ではなく、通り道から
物が多い実家では、量を減らすことを目標にすると、親の同意が取れずに止まります。先に目指すのは、安全に暮らせる状態です。
通り道、階段、火のまわり、寝る場所から出口までの経路。この四か所が空くだけで、暮らしの安全はかなり変わります。量の話は、この後からで間に合います。
先に空ける四か所
物が多い家では、全部を対象にすると話がまとまりません。同意が取りやすく、効果が大きい場所から入ります。
| 場所 | なぜ先に空けるか | 親への伝え方 |
|---|---|---|
| 廊下・玄関までの通り道 | 夜間や停電時に足元が見えないと転倒につながる。搬出経路にもなる | 「夜にここを通るとき、暗いと足元が見えないよね」 |
| 階段と、その上下 | 転ぶと大きなけがになる。手すりが物で使えなくなっていることがある | 「手すりを使えるようにしておきたい」 |
| 台所のコンロまわり | 火のそばに紙や布があると危ない | 「コンロの横だけ空けておこう」 |
| 寝る場所から玄関までの経路 | 夜中に起きたときと、いざというときの経路 | 「寝室から玄関まで、まっすぐ歩けるようにしたい」 |
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同意が取りやすい順番
同じ物でも、どういう理由で片付けるかによって、受け入れられやすさが変わります。物の要不要から入ると断られやすく、安全と手続きから入ると通りやすくなります。
順番としては、①危ないから空ける ②使えないから出す(壊れた物、期限切れ、湿気で傷んだ物) ③同じ物が何個もあるから減らす ④使っていないから手放す、の順です。④が一番断られやすいので、最後に回します。
①と②だけで、量がかなり動く家もあります。特に、通販の箱・新聞紙・空き容器・古い日用品は、量の割に判断が軽い物です。
量を減らす前にやること
物が多い家では、分ける場所そのものが足りません。作業台になる床がないと、手に取った物を持ったまま立ち尽くすことになります。
最初の作業では、何も判断せずに一畳分の床を出します。そこにある物を、判断せずに壁ぎわへ寄せるだけです。空いた床は、この先ずっと作業台として空けたままにします。
積み上がった山を崩すときは、上から一つずつ取ります。横から引き抜くと崩れます。背より高い山、湿っている物、においのある物には、手袋とマスクを着けてから触れてください。虫が出ることもあります。
この段階では、親に判断を求めません。「捨てるかどうかは後で決めるから、今日はここを空けるだけ」と伝えて進めます。
床が抜ける・棚が倒れる危険があるほど積み上がっている場合は、自分たちだけで崩さないでください。上から順に崩すこと自体が危険です。
一度に全部を出さない
物が多い家では、出るゴミの量も多くなります。一度に出そうとすると、地域の収集で受け取ってもらえる量を超えます。
先に調べるのは、一回に出せる量、収集日、大きい物の申込方法、持ち込みができるかどうかです。市区町村ごとに決まりが違うので、実家の自治体の案内で確認してください。
袋を家の中に積むと、片付ける前より通れなくなります。出す日まで置く場所を、居住スペースの外(玄関の外、車庫、ベランダ)に決めておきます。
量が多くて自分たちでは出しきれない場合は、運び出しだけを頼む形があります。判断は自分たちでして、運ぶところだけ人に頼むと、費用も抑えられます。
実家の片付けを人に頼む判断どこまでを自分たちでやり、どこから頼むかの分け方を書いています。
背景に事情があることがある
物がたまっていく状態には、いくつもの背景が重なっていることがあります。体調の変化、配偶者を亡くした後の時期、目や足が不自由になって片付けが体力的にできなくなったこと、人との行き来が減ったこと。
本人の性格やだらしなさの問題として話すと、片付けの話そのものができなくなります。「なぜこうなったか」を問うより、これからどうするかだけを話す方が進みます。
ためこみに医学的な背景がある場合もあります。診断や治療について、ここで判断することはできません。ご家族だけで抱えず、お住まいの地域の地域包括支援センター、市区町村の福祉の窓口、保健所にも相談の窓口があります。介護保険のサービスや、住宅改修の相談につながることもあります。
近隣から苦情が出ている、においや虫が出ている、といった状態になっている場合も、自治体の担当窓口が相談を受けていることがあります。
安全のために、同意なしでも動かすか
同意を待つ
原則こちら。物の要不要の話では、同意なしに動かすとその後の片付けができなくなる
先に動かす
避難経路がふさがっている、火のそばに燃える物がある、階段の手すりが使えない。この場合は要不要ではなく安全の話として、その場所だけを動かす。動かしたことは必ず本人に伝える
自分たちで進めるか、外に頼むか
自分たちで進める
親の同意を取りながら進める段階。判断は家族でないとできない。時間はかかるが、後に残るものが少ない
外に頼む
量が多くて運び出せない、期限がある、体力的に無理がある。判断は自分たちでして、運び出しと分別を頼む形にすると範囲がはっきりする
よくある質問
実家がゴミ屋敷のような状態です。どこから手を付ければいいですか
量を減らすことではなく、暮らしの安全から入ってください。通り道、階段、火のまわり、寝る場所から玄関までの経路。この四か所を空けることを目標にします。ここが空くだけで、転倒や火事の危険がかなり減ります。全体を片付けようとすると、量に対して手が足りず、親の同意も取りにくくなります。においや虫が出ている、近隣から苦情が出ているといった状態のときは、市区町村の窓口や保健所にも相談の窓口があります。
親は困っていないと言います
実際に困っていないこともあります。その場合、量を減らす話は通りません。困りごとが具体的に出ている部分(歩きにくい、探し物が見つからない、暑い日に窓が開けられない)から入ってください。困っていない場所を片付けようとすると、こちらの都合の話になります。
片付けても、次に行くとまた元に戻っています
入ってくる量が減っていないことが多くあります。通販、新聞、チラシ、いただき物。家の中を片付けるだけでは、この分が積み上がります。郵便物をその場で分ける場所を作る、通販の箱をすぐ畳んで出す場所を決める、といった入口の手当てを一つ入れてみてください。物を減らすより、こちらの方が効くことがあります。
においや虫が出ていて、手が付けられません
生ものや水回りが原因の場合、片付けの前に衛生面の処置が要ります。手袋とマスクを着けて、においの元になっている物(生ゴミ、傷んだ食品、濡れた紙や布)から出してください。手に負えない状態のときは、自分たちだけで進めず、専門の事業者に相談する選択肢があります。作業前に、範囲と金額を書面で確認してください。
一日で少しずつしか進みません
物が多い家では、それが普通の速さです。進んでいるかどうかは、出した袋の数で数えてください。カレンダーに数字を書くだけで、後から見返したときに進んだことが分かります。量そのものは見た目に変化が出にくいので、数えないと進んでいないように感じます。
この記事の親ページ
実家の片付けの進め方|親と揉めない順番と声のかけ方全体の流れと段取りをまとめてあります。